基盤リワークは、既存の部品と新しい部品を取り替える作業のことですが、技術的な課題がいくつかあります。このページでは、具体的な課題とスルーホールの断線について詳しく解説しています。
リワーク作業で重要なのは、適切な加熱能力を確保することです。鉛フリーはんだを使用する場合、融点が高いため十分な加熱が必要となります。しかし、大型や厚みのある基板では、熱が逃げやすく、加熱が不均一になりがち。不十分な加熱は、はんだの不良接合を引き起こす可能性があるのです。
一方で、過度の加熱は基板の反りや部品への損傷を引き起こすリスクがあります。このように、適切な加熱条件を見極めることがリワークの鍵となります。
はんだブリッジを解消する際や、部品取り外し後は、基板のランド上のはんだが不足する場合があります。リワーク時は、不足分を局所的に供給する必要が生じます。適切なはんだ量の供給は、電気的接続と信頼性の高いリワークを行う上で重要なのです。
大型で重量のある基板は、特にリワークが難しいとされています。これらの基板は厚く多層になっていることが多いため、はんだコテの熱が均等に伝わりにくいのです。そのため、はんだがスルーホール内に充填されない状態や、基板と銅パターンの熱膨張差による、ひずみ応力が生じる場合があります。
さらに、鉛フリーはんだの場合、はんだに侵食される銅パターンの不具合も発生しやすいです。これらの課題に対応するためには、高度な技術と経験が求められるでしょう。
大電流を扱う基板や、複雑な構造の基板リワークは、従来の方法では効率が悪く、コストが高くなる可能性があります。はんだを溶かすことが困難な場合、2人の作業者で修理するなど、手間と時間がかかる作業になることも。
その結果、リワーク可能な基板や部品でも廃棄されるケースが発生し、経済的な損失と環境への影響が問題になっています。
スルーホールは、基板上に開けられた穴で、多層基板において異なる層間を電気的に接続する役割を果たします。基板の表面と内部の配線を結びつけることができ、配線パターンの自由度を高めることが可能です。スルーホールはまた、基板の導通検査においても重要な役割を果たします。
スルーホール断線の原因は多岐にわたります。製造工程でのドリルビットの折れや不適切なビットの選択、加工異常などが挙げられます。
また、製造後の熱衝撃試験などにより発見されることもあり、この場合、スルーホール内の銅の侵食や、機械的な損傷が原因であることが多いです。防錆処理や清掃工程での化学物質の侵入も、スルーホール断線の一因となります。
スルーホール断線は、製品の信頼性に直接影響を及ぼします。断線が発生した基板は、機能を全面的に失うことがあり、修理や再製造が必要となります。そのため、生産コストの増加や納期遅延などの問題が発生し、製品の品質にも悪影響を及ぼすことがあります。
基板リワークは、品質維持と基板再生に不可欠です。技術的な課題はあるものの、さまざまなシーンでの活用が可能で、基板の性能と寿命を保つ上で重要な作業となります。
本サイトでは確認しておきたいリワーク受託業者について、特徴やおさえておきたいポイントを含めて紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。各社で対応している範囲・温度管理の方法などが異なるので、自社で求めているリワークに対応可能か事前によく確認が必要です。
【サイトに掲載する会社について】
2021年11⽉時点、Googleで「リワーク装置」と検索し、検索結果10ページまでに表示された、リワーク装置メーカー9社、リワーク受託業者(EMS)19社をこのサイトに掲載しています。
本サイトに掲載する各社の情報は、公式HPを情報元としています。
【3社の選定理由】
メイショウ…「スキルレスな位置合わせ機能」「自動はんだクリーニング機能」「テスト基板不要の温度プロファイル機能」といった、スキルがない人でも操作可能な機能がリワーク装置メーカーの中で最も多い(標準仕様)。
ダイナテックプラス…世界130ヶ国以上に装置を展開しており、ツール型からステーション型まで9種類の製品を提供している(2021年11⽉時点) 。
シンアペックス…「フルBGAパターン」「ペリメーターBGAパターン」「千鳥パターン」「リードパターン」といった、ピッチにあわせてはんだ除去する機能がリワーク装置メーカーの中で最も多い。