基板リワークにおける静電気対策
電子機器の修理や改修において、「基板リワーク」は重要な役割を果たしています。しかし、この繊細な作業には、常に「静電気」という見えない敵が潜んでいるのです。ほんのわずかな静電気放電(ESD)が、電子部品に致命的なダメージを与えかねません。本記事では、基板リワークにおける静電気対策の重要性や対策について解説いたします。
基板リワーク作業中に静電気が発生しやすい状況
基板リワークは、静電気が発生しやすい環境下で行われることが多いものです。例えば、基板から部品を取り外す際には、工具と部品、あるいは部品同士が擦れ合い、静電気が発生します。また、はんだ付け作業では、はんだごてと基板の接触、あるいは、はんだが溶けて固まる過程で静電気が発生する可能性も否定できません。
さらに、クリーニング溶剤を使用して基板を洗浄する際にも、溶剤と基板の摩擦により静電気が発生するリスクがあります。これらの作業は、いずれも基板リワークでは避けられない工程であり、作業中は常に静電気発生のリスクと隣り合わせです。特に、空気が乾燥する季節は静電気が発生しやすくなるため、より一層の注意が求められます。
静電気による基板や部品への影響
静電気放電(ESD)が基板や部品に与える影響は、単に部品が壊れるというだけにとどまりません。例えば、静電気により半導体内部の絶縁膜が破壊されると、リーク電流が増加し、回路の誤動作や性能劣化を引き起こす場合があります。
また、静電気放電によって瞬間的に大きな電流が流れることで、回路パターンが溶断したり、部品内部の接合部が損傷したりすることも考えられます。さらに、静電気によるダメージは、すぐに症状が現れる顕在的な故障だけでなく、潜在的なダメージとして部品内部に残る場合もあるのです。
この潜在的なダメージは、初期検査では発見されにくく、製品が市場に出回った後に故障を引き起こす原因となります。このような潜在的なダメージは、製品の寿命を短くするだけでなく、予期せぬ故障を引き起こし、製品の信頼性を大きく損なうリスクを含んでいます。
基板リワークにおける静電気対策の重要性
静電気は基板リワークにおいて、製品の品質や信頼性を脅かす重大なリスク要因です。静電気対策を怠ると、部品の破損による修理コストの増加、作業効率の低下、さらには製品の信頼性低下による企業イメージの悪化など、様々な問題を引き起こす可能性があります。これらのリスクを回避し、高品質なリワーク作業を実現するためには、適切な静電気対策が不可欠と言えるでしょう。
静電気対策を徹底することは、不良率の低減、製品の信頼性向上、そして最終的にはコスト削減にもつながります。静電気対策は、一見地味な作業のように思えるかもしれませんが、実は基板リワークの成功を左右する、非常に重要な要素なのです。
基板リワークにおける具体的な静電気対策
1. 作業環境の整備
- 作業台に導電性マットを敷き、静電気が溜まるのを防いで安全な作業環境を構築する。
- 床にも導電性のある素材を使用し、作業空間全体の静電気対策を行う。
- 室内の湿度を40~60%程度に保ち、空気が乾燥して静電気が発生しやすくなるのを防ぐため、加湿器などで適切な湿度を維持する。
- イオナイザーを導入し、空気中のイオンバランスを調整することで静電気の発生を抑える。
2. 作業者の対策
- リストストラップ(アースバンド)を着用し、身体に帯電した静電気を常にアースに逃がして安全を確保する。
- 静電気対策服や静電気対策靴を着用し、衣服や靴との摩擦による静電気発生を抑える。
- 導電性手袋を着用して部品や基板を直接触る際の静電気放電を防ぎ、導電性ピンセットを使用して小さな部品を安全に取り扱う。
3. 部品や基板の取り扱い
- 部品は導電性トレーや導電性袋に入れて保管し、静電気の影響を受けにくい環境で部品を保護する。
- 部品を取り扱う際にはできるだけ直接手で触れないようにし、やむを得ず触れる場合は静電気対策用具を使用する。
- 静電気対策が施されたはんだごてなどの工具を使用し、作業中の静電気発生リスクを低減する。
4. 定期的な点検とメンテナンス
- リストストラップや導電性マットなどの静電気対策用具が正しく機能しているかを定期的に点検し、必要に応じて交換する。
- イオナイザーは定期的に校正を行い、常に最適な性能を維持して効果的な静電気対策を継続する。
静電気対策で守る、基板リワークの品質
基板リワーク作業において、静電気対策は製品の品質と信頼性を確保するために不可欠な要素です。静電気による影響を正しく理解し、作業環境の整備、作業者自身の対策、そして部品や基板の適切な取り扱いを徹底することで、静電気によるリスクを最小限に抑えられます。
本記事で紹介した対策を参考に、日々の作業を見直し、
静電気対策を徹底しましょう。静電気対策は、目に見えないリスクから大切な製品を守る、重要な取り組みなのです。
【対象製品別で
分かりやすい!】
リワーク装置メーカー/
取り扱い業者3選
リワーク装置の新規導入・追加(入れ替え)にあたって、リワークが必要な対象製品ごとに、
おすすめのメーカー(海外メーカー代理店含む)及び製品をご紹介しています。
基盤が使われている製品によって特徴や仕様が大きく異なるので、
適切なリワーク装置を導入して作業効率の最適化を図りましょう。
メイショウ
引用元:メイショウ公式HP
(https://www.e-meisho.co.jp/topproducts/次世代リワーク装置 ms9000se pc/)
製品名:MS9000SE
おすすめの理由
作業時間と教育コストを大幅カット!
- 自動位置合わせ機能により、スキルレベルに依存せず品質を担保。さらに複数人作業時の仕上がりのバラつきも予防。
- サンプル基盤不要の温度プロファイリング自動取得機能と非接触吸引ノズルにより、短時間ではんだクリーニングが可能。ランドパターン剥離の心配もなし。
企業サイトで
詳しく見てから問い合わせる
電話で問い合わせる
特徴・仕様を
詳しく見る
Ersa
(代理店:ダイナテックプラス)
引用元:ダイナテックプラス公式HP
(https://dynatechplus.co.jp/rework-systems)
製品名:HR 600 XL
おすすめの理由
規格外品や特定条件にも柔軟に対応!
- 縦横625mm/厚み10㎜までの大型基板や、鉛フリーBGAにも対応。
- 下中波長IRヒーターにより大幅に⊿tを抑え、熱疲労による破損リスクを低減。上部にIR+エア式800W、下部にIR600W×25個を搭載し、大型基盤でも同時複数個所の作業が可能。
企業サイトで
詳しく見てから問い合わせる
電話で問い合わせる
特徴・仕様を
詳しく見る
ジャパンユニックス
引用元:ジャパンユニックス公式HP
(https://store.unixjbc.jp/item/149/)
製品名:JNA-9B
おすすめの理由
ミリ単位の職人技をハードでサポート!
- ヒーティングエレメントのノズル径はわずか1.0mm、こて先からグリップまでの距離も最小18mmまで縮小することで、0402/01005などの極小チップのはんだ付けに対応。
- HDI基板やSMD部品の交換など、拡大鏡を用いる手作業に真価を発揮。
企業サイトで
詳しく見てから問い合わせる
電話で問い合わせる
特徴・仕様を
詳しく見る