リワークの仕上がりは、どの温度でどれだけ加熱するかを定めた温度プロファイルに大きく左右されます。そして温度プロファイルは、基板が変われば同じ設定をそのまま使えるとは限らず、対象ごとに実測して作り直す前提の工程です。
本記事では、測定ポイントの決め方から熱電対の取り付け、試験加熱による実測、目標値との照合までを手順に沿って整理します。あわせて、耐熱性の弱い部品を扱うときの注意点と、作業者によるばらつきを残さないための管理方法もまとめました。
温度プロファイルとは、加熱の開始から冷却の終了までの温度変化を時間軸で表したものです。リワークでは、この曲線を対象の基板と部品に合わせて設計し、はんだを溶かしながら周辺への熱ダメージを抑えることを狙います。
温度プロファイルは、大きく4つのゾーンに分けて考えます。基板全体を穏やかに温めるプリヒート、温度差をならして全体を均一化するソーク、はんだを溶融させるリフロー(ピーク)、接合部を固めるクーリングです。
どこか一つの設定を変えれば後続のゾーンにも影響が及ぶため、4つを個別に決めるのではなく、つながった一本の曲線として組み立てる作業だと捉えておくとよいでしょう。
リフロー炉では基板全体を炉に通すため、面内をどれだけ均一に昇温できるかが主な関心事になります。一方リワークでは、修正したい箇所だけを局所的に加熱し、周囲に実装済みの部品へ熱を伝えないことが同時に求められます。
つまりリワークの温度プロファイルは、はんだを溶かす条件と周辺を守る条件を両立させなければなりません。どの範囲にどう熱を入れられるかは加熱方式によって変わります。
設定した温度と、基板上で実際に発生している温度は一致しません。そのため、狙った温度が対象部位に届いているかを測って確かめる必要があります。
層数や板厚、銅箔の量、周囲の部品配置によって、熱の伝わり方と溜まり方は変わります。同じ装置で同じ設定にしても、基板が違えば昇温の立ち上がりもピークの到達温度も変わってきます。
部品の種類や基板の種類、耐熱性の弱い部品の有無によって条件が異なるため、それぞれの部位で昇温レベルを測定する必要があります。以前に作ったプロファイルは出発点として役立ちますが、そのまま流用できるとは限りません。
※参照元:太伽(https://www.taiga.co.jp/column/soldering/article08.html)
昇温が速すぎるとフラックスが急激に揮発し、はんだボールやボイドの発生につながります。逆にピーク温度や溶融時間が不足すると、はんだが十分に濡れ広がらず接合不良が残ります。加熱時間が長引いた場合は、熱負荷によって基板が反ったり、周辺部品にダメージが及ぶ可能性もあります。
いずれも設定をわずかに誤るだけで起こり得る不良です。プロファイルを勘で決めない理由がここにあります。
温度プロファイルの作成は、測定ポイントを決める、熱電対を取り付ける、試験加熱して実測する、目標値と照合して調整する、という4つの手順で進めます。
最初に決めるのは、どこの温度を測るのかです。リフローはんだ付けの温度プロファイル測定では、次のポイントが挙げられています。
※参照元:太伽(https://www.taiga.co.jp/column/soldering/article08.html)
熱容量の大小で昇温の速さが変わり、耐熱性の弱い部品では上限温度の管理が必要になります。温めたい場所と、守りたい場所の両方を測るという考え方で選びましょう。
取り付け方が変われば測定値も変わるため、ここは手順を揃えておきたい工程です。測温部は少量のボンドを塗布して固定する方法があり、ボンドを使うことでリフロー測定時に熱風で波形が乱れる問題が解消されます。素線は裸素線を10mm以下にすることが実用上推奨され、線径はφ0.2が一般的で、微小な部分にはφ0.1が推奨されています。貼り付ける位置がレジスト上かパッド上か部品のリード部かによっても、昇温プロファイルは変わります。
測定ポイントと取り付け方法を記録に残せば、次回以降も同じ条件で比較できます。
※参照元:太伽(https://www.taiga.co.jp/column/soldering/article41.html)
熱電対を取り付けた基板を使い、実際に加熱して温度変化を記録します。測定は加熱の開始から冷却の終了までを連続して行い、複数の測定ポイントを同時に記録します。一点だけを測ると、その場所は適正でも別の場所が過加熱や加熱不足になっていることに気づけません。
試験加熱は一度で決まらないことも珍しくありません。どの設定でどの波形が出たのかを紐づけて残しておくと、調整の後戻りを減らせます。
実測した波形は、目標とする条件と照合して評価します。リフロー実装では、昇温速度1.0〜1.5℃/秒、ピーク温度はSn-Ag-Cu系鉛フリーで235〜245℃、液相線以上の滞留時間40〜70秒、冷却速度2〜4℃/秒が目安とされています。
※参照元:リフローラボ(https://reflow-lab.com/peak-temp-reflow-profile/)
ただしこれらはリフロー実装での目安であり、局所加熱で行うリワークにそのまま当てはまる数値ではありません。照合の出発点として使い、最終的な条件は基板ごとの実測で決めるという位置づけで扱ってください。
部品側の上限は規格を手がかりにできます。IPCとJEDECが共同で発行した「IPC/JEDEC J-STD-020E 非密閉型表面実装部品の吸湿/リフロー耐性の分類」は、吸湿によってリフロー時に損傷し得る非密閉の表面実装部品を対象とした規格で、E版は2015年1月に発行されました。部品メーカーが吸湿感受性レベル(MSL)を実装工程側に伝え、実装工程側が適切な取り扱いを行うために用いられます。同規格には分類用のリフロープロファイル、鉛フリー工程の分類温度、熱電対による温度測定の規定が含まれています。
※参照元:IPC【PDF】(https://www.electronics.org/TOC/IPC-JEDEC-J-STD-020E.pdf)
規格が定める具体的な温度は部品の分類によって異なります。実際に扱う部品の上限については、部品メーカーが公表している条件を確認しておきましょう。
耐熱性の弱い部品を扱う場合は、リードや素子内部の温度を測って熱損傷が生じていないことを確認します。そのうえで、使用する装置と温度プロファイルを部品メーカーに開示して条件の合意を取り、納入仕様書に記載しておく進め方があります。
この考え方は規格側にも示されています。IPC/JEDEC J-STD-020Eの適用範囲には、一般的でない部品や技術を扱う場合には顧客と製造者が関与して開発を進め、製品の受け入れ基準に合意された定義を含めるべきである旨が記載されています。
※参照元:太伽(https://www.taiga.co.jp/column/soldering/article41.html)
※参照元:IPC【PDF】(https://www.electronics.org/TOC/IPC-JEDEC-J-STD-020E.pdf)
作ったプロファイルが担当者の手元にしか残っていないと、別の人が同じ基板を扱うときに条件を再現できません。基板の種類や条件に応じたプロファイルを事前に保有しておき、必要なときに呼び出す運用があります。また、エリアごとにプロファイル温度を設定できる装置もあります。
プロファイルを保存して呼び出せるか、推奨するプロファイルを装置側で作成できるかといった観点は、作業を属人化させないための判断軸になります。
※参照元:アート電子(https://www.art-denshi.co.jp/rework/05)
リワークの温度プロファイルは、測定ポイントを決め、熱電対を取り付け、試験加熱で実測し、目標値と照合して調整するという手順で作成します。基板ごとに熱の伝わり方が変わるため、既存の設定をそのまま流用せず、対象ごとに測って確かめることが品質の安定につながります。
作成したプロファイルは装置側に残し、誰でも呼び出せる状態にしておきましょう。作成と管理をどこまで装置に任せられるかは、リワーク装置を選ぶうえで押さえておきたい観点です。
リワーク装置の新規導入・追加(入れ替え)にあたって、リワークが必要な対象製品ごとに、
おすすめのメーカー(海外メーカー代理店含む)及び製品をご紹介しています。
基盤が使われている製品によって特徴や仕様が大きく異なるので、
適切なリワーク装置を導入して作業効率の最適化を図りましょう。